きみに読む物語

きみに読む物語 スタンダード・エディション [DVD]

きみに読む物語 スタンダード・エディション [DVD]


最近は殺人だの流血だの精神崩壊だの戦争だのの映画ばかりだったが、久しぶりにちゃんとしたラヴ・ストーリーを見た。
最後泣けました。
単純でごめん。



一方でいろいろ思うところも。

  • 痴呆ってやっぱ切ない。思い出が失われていくってのは本人も周囲もつらい。この映画は最後に救いがあったけど、現実はきっともっとつらいんだろうなぁ。
  • どうしても男の立場で見てしまうので、ヒロインの揺れ動く気持ちに若干フラストレーションを感じてしまった。
  • 一方で憎い演出で何度も恋の炎を燃え上がらせる男も男だ。
  • ってゆーかそれ以前に、人間ってやっぱ理屈じゃない。理屈は仕事だけで十分。感情の生き物なんだから、それを否定しちゃいかんよね。やっぱ。
  • サム・シェパードがさりげなく出てた。かっけぇ。

ところで突然ですがお酒も入っていることですし(例のごとくウィスキーをあおりながら見てました)、恋愛感をちょっと語ってみようかな、と。
恋と愛の違いについて。
勝手に俺が決め付けているのは、恋はこちらから相手に対して矢印が出ている、すなわち、自分が相手を好きであるという状況だと思っている。
愛は、逆に、いや、逆にというのも変だな、とにかく相手の立場をしっかり考えて自分も共感して一緒に喜びや痛みを分かち合える状態なんじゃないかと。
(きっと同じように解釈している人いっぱいいると思う)
この映画で頻繁に出てくるフレーズで「ひと夏の恋」って言葉があるんだけど、まさしくひと夏の情熱的な気持ちの高ぶりは「恋」なんだろうと思う。
この映画の主人公二人は、とにかくお互いに恋をしていて、そして老成した二人はお互いに愛し合っている。
恋を凄く肯定する映画で、恋から愛になった瞬間は完全にすっぱ抜かれてしまっている(というか死ぬまで恋してる感じ)。
そこんところちょっと気になるかなー、みたいな。
けどそんなの映画に詰め込んでたらとてもじゃないけど2時間の尺にはおさまんねーな。


ところで、主人公(男のほう)の台詞で、一つだけ反論したいことが。
「周りのことは気にするな。自分がどうしたいかを考えろ。どうしたいんだ? 楽なほうに逃げるな
楽な方に行くことを「逃げる」と表現して、それを否定するのはいかがなものかと。
一緒にいて落ち着ける、安らぎがある、くつろげる、穏やかでいられるってこともとても大切なことなのでは。
まあそりゃ自分の気持ちに嘘をつくなってことを言いたいであろうことは分かるし、それは激しく同意なんですけど、自分のほうへ誘導しようとする狡さと必死さが感じられてある意味リアル(笑)。